【映画レビュー】「きみの色」:聖書と音楽が奏でる、繊細で美しい青春群像劇

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本記事には、映画鑑賞には影響がない程度の多少のネタバレが含まれています。
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映画「きみの色」を公開日 (2024/08/30) に観てきました。
山田尚子監督の作品は、響け!ユーフォニアムシリーズや、リズと青い鳥、聲の形など名作ぞろいだった記憶しかないので、これは観に行かなければ、と思っていた作品です。

以下、映画「きみの色」のレビューとなります。

映画「きみの色」
総合評価
( 4 )

全体的に山田尚子監督を感じる作品でした。
あえて全てを説明せず、解釈は観客に任せるスタイルがすごく良かったです。

キリスト教チックな考え方や、実際の聖書箇所から引っ張ってきたセリフなどが出てくるので、普段キリスト教に触れていないと少し理解が難しいかもしれません。
(筆者は普段から触れているほうですが、一部のコアな部分は考えているうちに一瞬で過ぎ去っていってしまったので中々難しかった)

わたしは主、あなたの神
イスラエルの聖なる神、あなたの救い主。
わたしはエジプトをあなたの身代金とし
クシュとセバをあなたの代償とする。

旧約聖書 イザヤ書 43章3節 (新共同訳)

こんなのが実際に出てきます、しかもセリフで。これだけでなく、詩篇121篇も一度出てきたと記憶しています。
聖書もですし、思想も思ったよりマジなキリスト教だったのでびっくりしました。

また、細かい感情の描写や会話が多く、1回の鑑賞では全て拾って理解するのは難しく感じました。
やはり聲の形やリズと青い鳥のように、何度も観返すうちに段々理解できるようになっていくんでしょうね。
映画に行きまくっていると財布が枯渇するので、配信を待つことになりそうなのは残念ですが…。

ちなみに、キャラクター「百道さく」の声優がやす子さんでしたが、鑑賞中は全く分かりませんでした。
キャストを見た時に「芸能人!?」と思い、どうなるんだろうかと気になっていたんですが、すごい演技力です。
言われなければ全く分からないレベルでした。

ここからは少し残念だったポイントになります。

バンドや所属する他のメンバーについて深掘りが少なく、薄く感じてしまった部分はありました。
そればかりでなく、先生 (シスター) や登場人物の親の態度や立ち回りも急に変わるので、観ていて少なからず混乱しました。

これは敢えて掘りこまないようにしているのかもしれませんが、私が見た感じでは意図は分かりませんでした。。。
最後も主人公である日暮トツ子に焦点が当たって終わるのですが、そこも雑に感じてしまいました。

なので、ライブシーンは凄くリアルかつ流石映画館という感じの素晴らしい臨場感だっただけに、ちょっと残念です。

しかし、スキップすべき映画かというと全然そんなことはなく、絶対に映画館で見る価値はあると思っています。
直近では「ぼっち・ざ・ろっく!Re:/Re:Re:」でも話題になったように、映画館の音響設備というのはすごいもので、おそらく配信バージョンでは映画館を超えられないでしょう。

また、山田尚子監督の作品の中では少し微妙という立ち位置だったとしても、映画全体で見ればかなり高レベルな作品となっています。
わざわざ映画館に足を運ぶ手間を込みにしても、十二分に楽しめる作品です。

以上、映画「きみの色」レビューでした。
頭の中をそのまま書き出しているので長々となってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
ぜひ映画館で鑑賞してみてください。

p.s.
きみの色はグッズ展開も豊富です。お財布に余裕のない筆者ですが、ついついボールペン (990円) を買ってしまいました。
グッズもそこそこ人気な気がしてるので、購入したい場合はお早めに。

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